「つくり手の想い」Vol.4 ― 素材と人を信頼でつなぐ、自家製ハムソーセージ ―

新潟市東区
自家製ハムソーセージ専門店メッツゲライ テラ
代表取締役 寺田 和正

新潟県産の良質な豚肉を厳選し、自家製でハムソーセージを加工・販売している「メッツゲライ テラ」。新潟の素材と、本場ドイツ仕込みのレシピ・製法をかけ合わせ、必要最低限の添加物で丁寧に仕上げた商品が、多くの食通から支持を集めています。今回は、代表取締役の寺田和正さんに、新潟の地でハムソーセージ作りを始めたきっかけや、その根底にある想いについて伺いました。

人の手が生むぬくもりある味わい

新潟でお店をはじめたきっかけを教えてください。

妻が新潟出身ということもあり、新潟には良質な豚肉をはじめとする豊かな食材があることを知りました。一方で、豚肉の加工品に特化した店が少ないことを知り、「ここなら自分の経験を活かして、新しい提案ができるのでは」と考えるようになりました。

もともと食品加工に関心があり、北海道の食品加工専門学校に進学。その後、大手のハム・ソーセージメーカーに就職し、商品開発を担当しました。研修で訪れたドイツでは、現地のマイスターから製法を学ぶだけでなく、レストランやスーパーで目にした数えきれないほどの種類のハムソーセージと、その味わいの奥深さに衝撃を受けました。

「自分の手で、素材選びから加工・提供まで一貫してやってみたい」という思いが次第に強くなり、茨城県の会社で修業を積む道を選びました。実践を通じて技術を磨きながら、自分の目指したい形が徐々に見えてきたように思います。

そうして準備を重ねる中で、新潟での開業に踏み切りました。地域の良質な素材と、自らの経験をかけ合わせたハムソーセージを、ここから届けていきたいと思っています。

大量生産ではなく“手づくり”にこだわる理由を教えてください。

大量生産のほうが効率的で、味の安定性にも優れていると思います。一方で、手づくりは全ての工程を人の手で行うため、練り具合や成形、塩加減などに微細な違いが生まれます。そうした“ばらつき”には、人の手が加わることでしか生まれない温かみがあると感じています。

その温かみを表現できることが、個人としてこの仕事に取り組む意義のひとつだと考えています。また、手づくりであれば、需要や状況に応じて柔軟に生産量を調整することができるため、無駄のない製造が可能です。結果として、フードロスの削減にもつながっていると実感しています。

つくる人と食べる人を信頼でつなぐ“丁寧な手仕事”

素材や加工方法など、ものづくりにおいて大切にしていることを教えてください。

生産者の方が大切に育てた原料を、さらに良いかたちにしてお客様に届けることを、ものづくりの基本として大切にしています。ありがたいことに、信頼できる新潟のお肉屋さんとお取引させていただいており、本当に質の良い、素晴らしい素材を使わせていただいています。だからこそ、生産者にもお客様にも、どちらにも喜んでいただけるものをつくることを常に意識しています。

また、必要なことだけを行い、余計なものは加えないという姿勢も大切にしています。保存料や増量剤は一切使用せず、必要最低限の添加物のみで仕上げています。

新潟の食材を扱ううえで、大切にしていることはありますか?

仕入先の担当者とはこまめにコミュニケーションを取り、タイミングを見ながら無駄のない仕入れを心がけています。週に1回、月に1回といったまとめ仕入れではなく、できる限り小まめに仕入れることで、素材の鮮度を保つことができます。こうした体制が取れているのも、近くに信頼できるお肉屋さんがいてくださるおかげです。新潟という土地とのご縁はもちろんですが、何より人とのつながりが、この店にとって欠かせない要素だと感じています。

また、仕入れた素材とは丁寧に向き合い、「この素材はどの加工に適しているか」を見極めてから作業に入ります。経験を重ねる中で、手に取った感触や状態から、「これはソーセージ向きだな」「これはハムにしよう」と判断できるようになりました。適材適所で素材を活かすことが、味を最大限に引き出すための重要なポイントだと考えています。

余らせないための“次の一手”を考える

フードロス削減について取り組んでいることがあれば教えてください。

まず大前提として、需要と供給のバランスをとることを重視し、製造計画を丁寧に立てています。素晴らしい素材を使い、想いを込めてつくっているからこそ、「できる限り廃棄したくない」という気持ちが根底にあります。そのためにも、無理のない量産体制と柔軟な対応を常に意識しています。

とはいえ、状況によってどうしても余剰が出てしまうこともあるため、その際の対応策をあらかじめいくつか用意しています。メッツゲライ テラにはレストランも併設しているため、そちらでも商品を提供し、より多くのお客様に召し上がっていただけるようにしています。また、状況に応じてセールやキャンペーンを行い、気軽に利用していただける場づくりにも取り組んでいます。

現在のところ、こうした取り組みは社内で完結しているものが中心ですが、今後は「finear」のような社外の取り組みとも連携し、より広い視点でフードロス削減に貢献していけたらと考えています。

つくり手として伝えたいメッセージをお願いします。

新潟には、質の高い豚肉をはじめとした美味しい素材があります。その恵まれた原料を、私たちが丁寧に加工し、一つひとつの商品に仕上げています。県内外を問わず、多くの方にこの美味しさを味わっていただけたら嬉しいです。

また、お客様とより深く関わる場として、ソーセージづくり体験教室も定期的に開催しています。体験の中では質問コーナーも設けており、ハムやソーセージのことをもっと知りたいという方にも楽しんでいただける内容です。開催は月に1回程度、お店の公式Instagramで最新情報を発信していますので、ぜひチェックしてみてください。

●詳細情報
名称:自家製ドイツハムソーセージ専門店メッツゲライ テラ
住所:新潟県新潟市東区中木戸50-4
HP:https://r.goope.jp/metzgerei-terra/
Instagram:https://www.instagram.com/metzgerei_terra/

finearダウンロードはこちら!
https://finear.jp/about/use/

finearの公式Instagramでも情報発信中!
https://www.instagram.com/finear_press/?hl=ja

取材にご協力いただきありがとうございました!
finearではこれからも、「つくり手に想いでつなぐ、新潟の未来」をテーマに、生産者の想いを発信していきます!

取材撮影 by BOOT